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Author:まつり駿楽
血統、ベストパフォーマンス、実績の関係性を重視した競馬予想とクラシックの展望などをしています。2012年2月3日よりキルトクール株式会社の神官として入社し、twitterやmixiを密かに更新中。fc2小説ページにて執筆活動も展開しています。

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血統から見た,「第73回日本ダービー」
今年の日本ダービーは,社台とはほとんど無縁の皐月賞馬メイショウサムソンが勝利。日本ダービーに限らず,今年の3歳G?の勝者は非社台生産牧場出身となりましたが,今回のこの記事では日本ダービーの上位馬の血統を見つつ,これからの「日本競馬」がどうなっていくのかということについて少し触れようかなと思います。

まず,勝ったメイショウサムソンの血統ですが,父はかつてテイエムオペラオーを輩出したオペラハウス。母は現役時代未勝利のマイヴィヴィアンで,その父はキングヘイローの父にあたるダンシングブレーヴです。これだけ見ると決して見栄えのするの血統とは言いがたいのですが,4代母には有馬記念史上初めて牝馬の勝ち馬であるガーネツト。ガーネツトの血筋からは,中山大障害を3回勝ち,障害時代に稼いだ賞金を生かして春の天皇賞にも挑んだポレールがおり,細々とですが日本競馬に古くから根付いている馬です。さらに母の代を重ねるとフローリスカップという馬にたどり着くのですが,このフローリスカップを牝系としている馬には,二冠馬のコダマやキタノカチドキ,さらには日本産馬で初めてアメリカG?を制したシーザリオの父であるスペシャルウィークなどの名があるように,名門の血筋と言えます。

次に2着だったアドマイヤメインですが,父はサンデーサイレンスで,母は当時世代限定戦だったクイーンステークスを勝っているプロモーション。プロモーションの父にあたるのは,フランスの2000ギニーを勝ったヘクタープロテクターで,父系は最近の日本競馬で活気付いているミスタープロスペクター系です。

3着に入ったドリームパスポートは,「父フジキセキ,母グレースランド」という血統馬。母のグレースランドは,「母ゴールデンサッシュ,父トニービン」ということで,母はステイゴールドの妹にあたる馬になります。また,ゴールデンサッシュはナリタトップロードの父であるサッカーボーイの全妹にあたる馬で,いわば社台の基礎牝馬にあたる血統から生まれてきた馬ということになりそうです。

と,ここまで事実の羅列といった感じですが,今回上位に来た3頭の馬からいくつかのメッセージを感じ取れます。

まず,先に行われた春の天皇賞においてサンデーサイレンス産駒が1着から3着まで独占しましたが,勝ったディープインパクトが今の日本競馬の中心的存在と考えた場合,もはやサンデーサイレンス産駒の後継種牡馬は必要ないのではないかという思いがありました。これは,ディープインパクト以外のサンデーサイレンス産駒の牡馬,特に今の3歳世代と4歳世代には,このことが大きく影響するのではないかと判断していましたが,今年のダービーを勝ったのは社台とほとんど無関係でサンデーサイレンスとは無縁の血統馬であるメイショウサムソンということで,現状はサンデーサイレンス産駒の台頭を許してはいない結果となっています。

一方で,メイショウサムソンは父系も母の父系もノーザンダンサーの系列。特に,母の父であるダンシングブレーヴの系列はリファール系で,かつて牝馬三冠を果たしたメジロラモーヌの父系と同じであり,ディープインパクトの母の父系とも同じもの。ダービーの前の週に行われたオークスで勝ったのも,リファール系の父を持つカワカミプリンセスで,リファールという血が着々と日本競馬に根付きつつある証左であるかもしれません。さらに,父のオペラハウスは日本軽種牡馬協会が種牡馬として管理しており,母の父のダンシングブレーヴはJRAが購入してきた馬。日本競馬への恩返しという点と共に,非サンデーサイレンス系の発展ということに関しては,これ以上にない血統馬だという見方もできます。

2着に入ったアドマイヤメインですが,父も母の父も社台で管理されていた種牡馬で,今後の日本競馬がどうなるかを見定める存在とも見られます。「父サンデーサイレンス,母の父がミスタープロスペクター系」の馬というのは,2004年の年度代表馬であるゼンノロブロイと似たような血統構成を持っておりますし,ミスタープロスペクター系には,ラインクラフトを輩出したエンドスウィープや,日本ダービーのレコードタイムを持っているキングカメハメハなどがおり,ある程度地位のある血統だということがわかります。もっとも,先に挙げたミスタープロスペクター系にしても,第70代日本ダービー馬であるネオユニヴァースの母の父系であるエタンにしても,基を辿るとノーザンダンサーの血の中にもあるネイティヴダンサーにたどり着くので,ネイティヴダンサーが競馬の行く末を見定めているようなところもあります。

ただ,今年の3歳馬の中で,ひいては今後の日本競馬にとって一番のキーホースとなると見ているのが,日本ダービー3着のドリームパスポートです。母方の血統を改めて見てみると,母の父のトニービンをはじめとして,2代母の父はディクタス,3代母の父がノーザンテーストということで,社台が選りすぐってきた血統が凝縮されています。そして,ドリームパスポートの父は,サンデーサイレンス初年度産駒にして最初の種牡馬であるフジキセキ。ディープインパクトのことを「日本近代競馬の結晶」と評した人もいましたが,ドリームパスポートのこの血統こそ,真に「日本近代競馬の結晶」ではなかろうかと思われます。

そして,春の天皇賞が終わった段階で「ディープインパクト以外のサンデーサイレンス産駒でディープインパクトの同期あるいは年下の馬は,ないがしろにされる」と見ており,サンデーサイレンス直子の後継種牡馬争いにも影響が及ぶのではないかと思っていましたが,その中でサンデーサイレンス直子の後継種牡馬で最も地位のある種牡馬はフジキセキ,あるいはアグネスタキオンではなかろうかと思っています。

まず,フジキセキ産駒はドバイ遠征も敢行したフェブラリーステークス勝ち馬カネヒキリを輩出しています。カネヒキリが登場するまで,意外なことにG?勝利は皆無だったのですが,カネヒキリが3歳ダート三冠を完全制覇し,ジャパンカップダートもレコード勝ちすると,それから約半月後の全日本2歳優駿においてグレイスティアラが田中勝春騎手のG?連敗記録をストップさせ,フジキセキ産駒の株を上げています。芝のG?では未勝利ですが,サンデーサイレンス亡き今,優秀な繁殖牝馬が流れてきやすくなっているはずで,そうなれば芝のG?タイトルを手にするのもあまり遠くはないのであろうかと思われます。

次にアグネスタキオンについてですが,勝ち上がる馬が多かった一方で2勝目以降がまるでダメで,一時期は「ぼったくり種牡馬」と揶揄されるようなところがありました。しかし,ロジックがNHKマイルカップを制し面目躍如。ロジックはさらに日本ダービーでも5着に入り,サンデーサイレンスの後継種牡馬として,着実に実績を積んでいます。

では,なぜこの2頭がサンデーサイレンス後継種牡馬の中で最も地位が高いと見ているのかというと,両馬は現役時代「無敗」だったためだと見ています。種牡馬となる多くの馬はG?などのビッグタイトルを手にし,その実績から種牡馬としての価値を見出されるものですが,無敗で現役を終えた馬は決して多くはなく,その中で「無敗」というのは希少価値が高いので,その分だけ馬の評価は高くなります。とはいえ,これだけでは「だからどうした」という域を出ない話だと思うのですが,今年のG?の中に決定的なシーンがあります。それは,アグネスタキオン産駒ロジックが勝った今年のNHKマイルカップで,2着,3着に続いたのはフジキセキ産駒でした。このNHKマイルカップはサンデーサイレンス産駒が勝てていないG?の一つで,この時には2頭のサンデーサイレンス産駒が出走していましたが,いずれも蚊帳の外の結果に終わり,サンデーサイレンスの孫が上位独占しています。また,NHKマイルカップの翌週に行われたG?ヴィクトリアマイルはサンデーサイレンス産駒が1着から3着まで独占しましたが,4着にはフジキセキ産駒のコスモマーベラスが入線しており,実はこれらの結果が次世代への襷渡しの準備が整ったというサインではないかと思っています。世間的には,菊花賞馬2頭出しているダンスインザダークが筆頭格と見られているみたいですが,日本ダービー同様「繁殖馬選定戦」の要である春の天皇賞に有力馬をそこそこ出走させながら未だに勝てていないダンスインザダーク産駒は,今回の日本ダービーにおいてもトーホウアランの9着がやっとだったので,少なくともダンスインザダークはサンデーサイレンスの後継種牡馬の筆頭格ではないと思われます。

さて,日本ダービーの回顧の中でも菊花賞の展望について少し触れたのですが,こちらでも少し触れつつ,近い未来の予見もしようと思います。

まず,勝ったメイショウサムソンですが,配合的には2000メートルから2400メートルがベストで,菊花賞が行われる3000メートルは必ずしも良いわけではありません。ただ,4代母のガーネツトは当時2600メートル戦で不良馬場だった有馬記念と共に,有馬記念の前走にあたる3200メートル戦の秋の天皇賞を勝っているので,血統的下地としては3000メートル以上のレースでも高いレベルで走れるはずで,三冠の可能性は高いと見ています。一方で,ノーザンダンサー系の同系配合馬であるため,テイエムオペラオーよりかは早熟寄りで,あまり長い期間の活躍は望めないかもしれません。

2着のアドマイヤメインですが,母の父であるヘクタープロテクターは淡白な子供が多く,距離適性もあまり長い方には向いていないので,メイショウサムソンよりも長距離適性はないのではないかと見ています。ただ,母のプロモーションはオークス4着,エリザベス女王杯4着と,牝馬にしては長い距離をこなせており,牝系は長距離寄りの血統。菊花賞でも見せ場十分の競馬はするはずですし,決して逆転が望めないわけではありません。秋になれば,この馬の本質がはっきりとわかると思いますが,現状はまだ未知の点が少なからずあると見ています。

個人的に菊花賞で逆転候補筆頭として見ている3着だったドリームパスポート。フジキセキ産駒の多くは2400メートル戦ですら危ういのですが,今までその流れできたのはサンデーサイレンスに力のある繁殖牝馬を取られていたために結果的に短距離寄りの馬を多く輩出していた可能性が高く,フジキセキ自身にしても4代母のMilan Millという馬は,世界の大系統の一つであるMill Reefの母にあたる馬で,決してスタミナに欠ける血統馬ではありません。牝系の血に関しては,2代母の父にあたるディクタスはとにかくタフさが売りの馬で,母の兄であるステイゴールドのタフネスぶりも少なからず牝系の影響を受けてのものだと見られます。スタミナ色の濃さを感じさせる血筋が牝系から脈々と受け継がれており,3000メートル戦である菊花賞でも好勝負が期待されます。何より,社台の結晶とも言うべきこの血統馬がG?を勝たずに終わるとは到底思えず,ディープインパクトが引退した辺りから頂点に立っても何の不思議でもないと思っています。

あとの日本ダービー出走馬についてですが,2400メートル戦ですら長すぎという感もあり,菊花賞での逆転の目はほぼ皆無。その中で意外と手強いのかもしれないのが,13着だったパッシングマーク。エルコンドルパサー産駒はトウカイトリックなどが代表されるように長い距離に対する適応が割としっかりできていますし,母方の血はやや一本調子の感がありますが,母系に入っているSpecialという馬は,欧州の大種牡馬であるサドラーズウェルズの2代母にあたる馬で,エルコンドルパサー自身もSpecialのクロスが入っている馬なので,パッシングマークにはとんでもない力を秘めている可能性があります。また,6着だったアペリティフもエルコンドルパサー産駒で,芝2500メートルを既に勝っていますし,3代母にあたるシャダイアイバーはオークス馬。血統から来るスタミナはかなりあるものと見られます。

最後に,安田記念について少々解説しますが,現在安田記念はサンデーサイレンス産駒が勝っていないレースの一つとされています。今年は,昨年も出ていた馬の中でアルビレオとアドマイヤマックスを除いた4頭に加えてダービー卿チャレンジトロフィーの勝ち馬グレイトジャーニーが参戦してきましたが,いずれも昨年よりレベルアップを果たしています。今年の東京芝1600メートルG?戦はサンデーサイレンス系の馬が強い上,古馬戦線はサンデーサイレンス系の無敵状態。今年こそ,サンデーサイレンス産駒による安田記念制覇があるかもしれません。

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血統話 | 11:52:48 | トラックバック(0) | コメント(0)

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