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まつり駿楽

Author:まつり駿楽
血統、ベストパフォーマンス、実績の関係性を重視した競馬予想とクラシックの展望などをしています。2012年2月3日よりキルトクール株式会社の神官として入社し、twitterやmixiを密かに更新中。fc2小説ページにて執筆活動も展開しています。

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ネイティヴダンサー系が競馬を変える?
今の世界の競馬は,サドラーズウェルズ,Danzig,ストームキャットなどのノーザンダンサー系,サンデーサイレンス,ブライアンズタイム,クリスエスなどのヘイルトゥリーズン系と共に,ミスタープロスペクター,キングマンボなどのネイティヴダンサー系が三大父系となりつつあります。そんな中でこの記事では,世界規模で台頭しつつあるネイティヴダンサー系についての検証を行おうと思います。


(参考記事・ちょっとした父系考察)


※環境対応型父系

欧州で頂点に立っているサドラーズウェルズ,アメリカで才能を存分に発揮しているストームキャットは同じ父系ノーザンダンサーでありながら,全くタイプの違う種牡馬となっています。このようなタイプの父系をここでは「環境対応型父系」と位置付けますが,今の日本において絶対的な勢力を誇っているサンデーサイレンス,ブライアンズタイムの祖先にあたるヘイルトゥリーズン,もといターントゥ(Turn-to)の系統もまた「環境対応型父系」と言えます。

もっとも,ノーザンダンサーもターントゥも本をただせばネアルコ(Nearco)を父系に持っており,今の競走馬のほとんどが「環境対応」の要素を持っているとも言えますが,今の世界の競馬の中で大きな勢力を誇っている父系は総じて「環境対応」の要素を強く持っていることが窺えます。

ネイティヴダンサー系って何ぞや?

こうした中でネアルコの祖先にあたるファラリス(Phalaris)の流れを別の形で持っているネイティヴダンサーはアメリカから世界の父系となり,「環境対応」の要素を強く持った父系であります。

具体的に触れると,アメリカから全世界的に影響を及ぼしているミスタープロスペクターは祖父のネイティヴダンサー同様にアメリカ型の種牡馬ですが,母父にフランス父系のNureyevを迎えたキングマンボ(Kingmambo),母父がアメリカ父系のヘイローでありながら現役時代をフランスで過ごしたマキャベリアン(Machiavellian)などは完全にフランス型の馬となっています。一方で,今年のドバイワールドCを制したカーリン(Curlin)の父スマートストライク(Smart Strike),アメリカでG1レースを11勝した女傑アゼリ(Azeri)の父ジェイドハンター(Jade Hunter)などのアメリカのトップホースを輩出した種牡馬は,現役時代もアメリカでした。

また,ネイティヴダンサー自身はアメリカで22戦21勝,ケンタッキーダービーの敗戦以外はプリークネスS,ベルモントSを含めて全ての出走レースを制している驚異的な活躍を見せた馬でしたが,ミスタープロスペクター以外の子孫も,ネオユニヴァースの母父にあたるクリス(Kris)とクリスの弟にあたるダイイシス(Diesis)は,共に現役時代を英国で過ごし,父系としても英国に根を張っています。さらに,「20世紀の最強馬」の1頭にも数えられる凱旋門賞馬シーバード(Sea-Bird)は,種牡馬としても凱旋門賞馬を輩出しつつ,アメリカ二冠馬を輩出した実績も持っています。

このように,国や母によって大きく馬のタイプが変わっていくのがネイティヴダンサー系の特徴ですが,どんな国で父系を張っていたとしても共通して言えるのが,「長続きせず,一旦落ち込むと取り戻せない」というピークの概念。例を挙げると,祖父にネイティヴダンサーを持っていたオグリキャップは1989年秋にマイルCS,ジャパンCという連闘を含むG1レース4連戦,G1レースでないオールカマーと毎日王冠を合わせて6戦を消化し,最後の有馬記念以外は全て連を外しませんでしたが,翌年の秋の天皇賞で生涯初めての掲示板外敗戦となる6着に敗れると,次のジャパンCでは11着と連続大敗。引退レースの有馬記念は何とか勝ったものの,勝ちタイムの2分34秒2は当日の条件戦よりも遅いものでした。また,サイレンススズカの走りやゼンノロブロイの有馬記念勝利などから,自分のペースを乱さなければどんな流れになっても対応可能である一方で,ゴチャゴチャした競馬では脆さを見せる打たれ弱さも持ち合わせています。

とはいえ,日本にもアドマイヤムーン,エルコンドルパサー,キングカメハメハなどといった父系ネイティヴダンサーのチャンピオンホースが目立ち始め,ネイティヴダンサー系が日本の競馬を席巻する日もそう遠くないように思われます。

※「ノーザンダンサーサンデーサイレンス→ネイティヴダンサー」?

さて,今の日本の競馬の大躍進には社台グループの存在なくして語れないものがありますが,社台の成功の裏には,ノーザンテースト,サンデーサイレンスといった種牡馬の導入が大きく関わっています。

実は社台がヒットさせた種牡馬のいずれもが,導入した当時の日本ではあまり開拓されていなかった系統でした。配合馬の多くは地道なアウトブリード志向で着実に土台固めをしていき,その過程の中で社台グループは牝系の力を強めていきました。そして,11年連続リーディングサイアーに輝いたノーザンテーストと共に過去に作り上げてきた土台を活かすが如く,血統的な被りが少ないサンデーサイレンスを自家生産,持ち込み問わずに良質の繁殖牝馬に大量に種付け,その産駒が見事に期待に応え続けてきたことにより,日本の競馬サンデーサイレンスの存在なくして語れないものとなりました。

そして,社台グループはさらなる持ち込み種牡馬としてウォーエンブレム,エンドスウィープといった父系ネイティヴダンサーを中心に選んできた一方で,国内活躍馬の方でも凱旋門賞2着となったキングマンボ産駒の○外エルコンドルパサーを社台の種牡馬として迎え入れ,21世紀の競馬に備えました。

※先見の明と誤算

サンデーサイレンスの後継馬は何も父系サンデーサイレンスに限ったことではないのは,父系ノーザンテーストがほとんど廃れたことからも明らか。こうした中で,さらなる社台の躍進を目指して導入されたウォーエンブレム,エンドスウィープ,エルコンドルパサーは,父サンデーサイレンスの繁殖牝馬との兼ね合いからはうってつけであり,特に「サンデーサイレンスの再来」と目されたウォーエンブレムは,世界で繁栄しているノーザンダンサー,ターントゥ,さらにはナスルーラの血さえも5代目までには入っていなかったことから,何事もなければ今のリーディングサイアーはウォーエンブレムであったかもしれません。

しかし,社台が迎え入れたエンドスウィープ,エルコンドルパサーは導入後数年で死亡。そしてウォーエンブレムもまた,特定の「属性」を持つ馬にしか興味が湧かないことから種付けが出来ず,産駒を多く残せていません。そんな中でも,エンドスウィープは昨年のJRA年度代表馬アドマイヤムーン,G1レース3勝の名牝スイープトウショウ,3歳マイルG1レースを2勝したラインクラフトなど,エルコンドルパサーは菊花賞馬ソングオブウインド,昨年から今年にかけて国内ダートG1レース5連勝を飾っているヴァーミリアンなどをそれぞれ輩出。種付け自体ほとんどしていない存命のウォーエンブレムも,初年度産駒は全て勝ち上がり,今年のクラシックにはエアパスカル,ショウナンアルバ,ブラックエンブレムといった有力候補を送り込んでいます。

このことを鑑みても,サンデーサイレンスに続く日本を代表する父系はネイティヴダンサーではないかということが窺え,社台グループの戦略に間違いがなかったことの証左とも言えます。

※「放たれた」アドマイヤムーン

今現在,日本の「父系ネイティヴダンサー」の最高傑作ではないかと思われるのが,ドバイデューティーフリーを制し,昨年のJRA年度代表馬に輝いたアドマイヤムーン。「父エンドスウィープ,母父サンデーサイレンス」という社台グループの結晶とも言うべき存在ですが,宝塚記念勝利後にシェイクモハメド殿下率いるゴドルフィンと金銭トレードをし,今はダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで種牡馬生活を送っています。

この馬が社台を離れたのは,日本競馬の集大成的血統であったことではないかと思われます。というのも,父のエンドスウィープが母方にノーザンダンサーの血を持っていますし,アドマイヤムーン自身が「母父サンデーサイレンス」ということもあって,社台にいる良質のサンデーサイレンス系繁殖牝馬とは種付けができない上,非サンデーサイレンス系繁殖牝馬との交配もサンデーサイレンス系の種牡馬の寡占によって阻まれてしまう可能性が高いというのがあります。また,アドマイヤムーンにはネイティヴダンサーとニアークティック(Nearctic)のクロスが薄いながらも入っており,それらの要因によって社台グループから「敬遠された」という見方もなくはありません。

そうした中で,今年はキングマンボ産駒のダービー馬キングカメハメハ,父はサンデーサイレンスで母父が英国型ネイティヴダンサー系のネオユニヴァースといったネイティヴダンサー系種牡馬の初年度産駒がデビューします。名前を出した2頭はいずれも社台グループが管理している種牡馬ですが,果たして日本の競馬をどのように彩っていくのでしょうか。

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血統話 | 20:21:18 | トラックバック(0) | コメント(0)
ディープな欧州血統
時に「ブラッドスポーツ」と呼ばれる競馬。幾多のレースを経て,栄える血統,淘汰される血統の選別がされますが,血統の歴史を追うにはその国の頂点とするレースの勝者を見るのがベターではないかと思われます。

そうした中で,来週は日本競馬における最高峰のレースである春の天皇賞が行われますが,春の天皇賞において最も活躍する血統であり,競馬の歴史が長い,欧州競馬血統について書いてみようと思います。


(参考記事・ちょっとした父系考察)


欧州三冠レースにおける血統

現在の欧州競馬では,イギリスのエプソム競馬場で行われる英国ダービー,同じくイギリスのアスコット競馬場で行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(以下,キングジョージ),フランスのロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞の3つのビッグレースを「欧州三冠」と呼ぶ声があります。いずれも距離が約12ハロンという3つのレースですが,その全て制した馬はミルリーフ(Mill Reef),ラムタラ(Lammtarra)のわずか2頭しかいません。

そんな中で,キングジョージと凱旋門賞は3歳以上のレースですが,凱旋門賞では近10年で3歳馬が7勝しているのに対し,キングジョージにおける3歳馬の優勝は近10年で2頭しかいません。時期的に凱旋門賞の方が後なので,成長力云々による逆転という部分もあるかもしれませんが,こと血統に関して言うと,キングジョージで最も多く勝っている父系はサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)の4頭であるのに対し,凱旋門賞で最も多く勝っている父系はDanzig系の3頭となっています。どちらもノーザンダンサーを先祖としてはいますが,サドラーズウェルズがスタミナ型であるのに対し,Danzigはスピード型であることから,レース質そのものが根本的に違うという見方もできます。

なお,欧州三冠レースの中で唯一の3歳限定戦である英国ダービーについてですが,近10年の中で最も多く勝っている父系はサドラーズウェルズの4頭。母の父系も含めると,ミルリーフ系も4頭(父系2頭,母の父系2頭)となっています。

※英国血統とフランス血統

こうして見ていくと,同じ欧州で活躍している系統でも,英国ダービー,キングジョージで強い英国血統と,凱旋門賞で強さを発揮するフランス血統に分類されるのではないかと思われます。これを日本の産駒として見ていくと,英国血統の場合は,牡馬は中長距離型,牝馬は短距離型にシフトするようなところがあり,急なラップ変動に弱い代わりに持続性のある脚を使います。英国血統に属する父系はサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)を筆頭に,ミルリーフの父であるネヴァーベンド(Never Bend),ラムタラの父であるニジンスキー(Nijinsky),あるいはエルグランセニョール(El Gran Senor),ブラッシンググルーム(Blushing Groom),ロベルト(Roberto),ブレニム(Blenheim)といったところが挙がります。

一方のフランス血統に関しては,「広いコースが得意で,短中距離型」という傾向があります。持続性は英国血統と比べると弱いですが,それでも比較的持続力のある脚を使える父系であり,脚質の柔軟性の高さが大きな武器となります。これに属するのは,Danzigを父に持つデインヒル(Danehill),凱旋門賞レコードホルダーのパントレセレブル(Peintre Celebre)の父であるNureyev,あるいはリファール(Lyphard),トニービンといったところで,日本での成功例が多い血統となっています。

※「狂気の凱旋門賞血統」リボー系の変遷

高松宮記念の予想の時に,キンシャサキセキの母の父系リボー(Ribot)系を「狂気の凱旋門賞血統」と表現しましたが,これはリボー自身が凱旋門賞2連覇を果たしたこと,子孫が強さと脆さを極端な形で発揮していたことを評してのものでした。しかし,リボー系が今大きく繁栄を遂げているのは凱旋門賞が行われるフランスではなく,ブリーダーズカップ・クラシックを頂点としているアメリカの方になっています。

以前,高松宮記念の回顧の中で,欧州型スタミナタイプの父系と米国型の父系は近似の関係にあると話しましたが,実際の距離適性で言えば,米国型の父系の方が短めにシフトされています。また,ダートコースに対する適性も大きく変わってくるので,同じリボー系であったとしてもある程度は別の存在として見た方が良さそうです。

そうした中で改めてリボーが源泉の父系を見ていくと,リボーと同じく凱旋門賞2連覇を果たした(Alleged)はフランス血統,ブライアンズタイムの母父にあたるグロースターク(Graustark),プレザントコロニー(Pleasant Colony)を輩出したヒズマジェスティ(His Majesty)などは米国血統と言えます。もっとも,「強さと脆さを極端な形で発揮する」といった性格的な部分はあまり変わらなかったりするのですが,同じ父系であってもタイプが全然違うことはノーザンダンサー系種牡馬やサンデーサイレンスの孫などを見ても一目瞭然で,母の父や環境などの違いを見ていくのも,血統を見ていく上で大事なことであることを窺わせます。

※日本の強豪馬が凱旋門賞を目指す理由

さて,一昨年にはディープインパクトが出走し,昨年はメイショウサムソンとウオッカのダービー馬2頭が参戦を予定していた凱旋門賞。日本の競馬の中で海外遠征というと,真っ先に思い浮かぶレースがおそらく凱旋門賞ではないかと思われるのですが,どうしてそういった志向があるのかについて,一つ考察してみようと思います。

まず,興行という視点で見れば,各国の最強馬,代表馬が集う歴史あるレースだったという点が大きいように思われます。それはシーバード(Sea Bird)が勝った1965年の凱旋門賞,ダンシングブレーヴが1986年の凱旋門賞などを見れば窺えるところではあり,日本で言うところのジャパンCと有馬記念がドッキングしたようなレースと表現すればわかるのではないかと思います。また,時期的にも夏競馬の空白期間があって,ローテーションの一本化が図りやすいというメリットもあります。さらに,最近の競馬ファンの場合,競馬ゲームにおける海外遠征の元祖が凱旋門賞だったという面もありますが,もっと根本的な理由として血統的因果があるからではないかと思われます。

先に取り上げたディープインパクト,メイショウサムソンは,母の父系がフランス血統のリファールであり,特にメイショウサムソンの母父は凱旋門賞馬ダンシングブレーヴなのでわかりやすい例ですが,ディープインパクトよりも前に絶対的な最強を誇っていたシンボリルドルフは,その祖先トウルビヨン(Tourbillon)がフランスの馬でした。また,1982年から1992年にかけて11年連続リーティングサイアーに輝いたノーザンテーストも現役時代はフランス。1988年の凱旋門賞馬トニービン,数少ない3歳牝馬による凱旋門賞制覇を果たしたサンサンなどといった馬を日本に持ってきていることからも,ある種の日本競馬の恩返しみたいなものが「海外遠征≒凱旋門賞」みたいな信仰に繋がっている部分があるように思われますが,それは言いすぎでしょうか。

※ウインドインハーヘアの遺伝力

話が思い切り横道に逸れた感がありますが,最後にディープインパクトの母であるウインドインハーヘアについて触れておきます。

ウインドインハーヘアはアルザオ(Alzao)というリファール系の父を持ち,母の父系は英国血統のブレニム系。日本では,サンデーサイレンスを父に持つディープインパクトとブラックタイドの2頭の重賞勝ち馬を輩出しましたが,その実績を見ると,弟のディープインパクトが無敗でクラシック三冠を達成するなどG1レースを7勝したのに対し,兄のブラックタイドはスプリングSを勝ってからは一度も勝ったことがなく,大きな差が生まれています。

サンデーサイレンスという種牡馬は,高い瞬発力とスピード能力を子供に伝える一方で,母馬次第で馬の質が大きく変わってくるという特質も持ち合わせていますが,ディープインパクトは柔軟性に富んだスピードを持つリファール系,無尽蔵なスタミナを持つブレニム系の影響をバランス良く受け継いだスーパーホースであったのに対し,ブラックタイドはブレニムの影響を強く受けているように思われます。ブラックタイドに関しては皐月賞後に屈腱炎にかかって長期休養を余儀なくされ,それが競走能力に影響を与えている可能性は否定できないものの,弟ほどのスピードを持ち合わせていないというのも,道中の戦略と上がり3ハロンの時計の出方などから窺い知れます。

現在,アグネスタキオン産駒のニュービギニングがケガで離脱することなく現役を続けていますが,大阪ハンブルクCで見せた時計勝負への弱さ,その前のドロドロ馬場で行われた松籟Sにおける勝利の走りを見ていると,ブラックタイド以上にブレニムの影響が強く出ているように思われ,スピードを持っていないと何も始まらないG1レースの舞台に上がるのは非常に困難だと思われます。

血統話 | 00:04:28 | トラックバック(0) | コメント(0)

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