2011-10-30 Sun
今年の勝ちタイム1分56秒1は、3年前にウオッカが出したレースレコード1分57秒2を1秒1、10年前にツジノワンダーが新潟で打ち立てた日本レコード1分56秒4を0秒3更新する、驚愕の2000mレコードとなりました。そんな中、日本レコードを上回る走りを見せた馬が3頭も出る激しい戦いを制したのは、関西馬でありながら関西圏未勝利のG2レース3勝馬トーセンジョーダンでした。1着・トーセンジョーダン(父ジャングルポケット)
2着・ダークシャドウ(父ダンスインザダーク)
3着・ペルーサ(父ゼンノロブロイ)
※激戦を逃れた者たちへの福音
今回の上位3頭はいずれも東京芝重賞の勝ち馬であり、東京芝2000m以下ではペルーサの毎日王冠以外はパーフェクト連対。こうした中で、勝ったトーセンジョーダンと3着のペルーサは前走から2ヶ月以上の間隔を空けての参戦で、上半期のG1は一戦のみで掲示板から漏れる敗戦というローテーション。一方でダークシャドウは初のG1レース参戦でしたが、トーセンジョーダンと共に前走G2を勝っての参戦で勢いがありました。
今回の大きなポイントは春のG1好走馬が軒並み崩れたことで、ヴィクトリアマイル、宝塚記念と連続で2着だったブエナビスタは国内で初めて複勝圏内から漏れる4着敗戦。天皇賞(春)2着、宝塚記念3着のエイシンフラッシュは6着、宝塚記念をレコード勝ちし、前走オールカマーもレースレコードで勝ったアーネストリーに至っては14着と惨敗を喫しており、極限までの高速決着になったことで鮮度の高さと余力の有無が問われるようなレースになったと言えそうです。また、前年のジャパンC馬で東京芝では3戦2勝2着1回のローズキングダムも10着に敗れましたが、こちらも宝塚記念では勝ち馬から0秒3差の4着。宝塚記念5着のルーラーシップが直前回避をしているように、宝塚記念における奮闘が特に尾を引いている印象もあります。
※下克上の天皇賞(秋)
天皇賞(秋)の上位3頭全てがG1未勝利馬だったのはオフサイドトラップが勝った1998年以来の出来事、天皇賞(秋)で初のG1制覇を果たしたのはグレード制導入の1984年以降では2009年のカンパニー以来14頭目となります。初のG1勝ちが天皇賞(秋)でその後のG1勝ちがあったのはギャロップダイナ、ニッポーテイオー、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、カンパニーの5頭ですが、ギャロップダイナ以外の4頭は過去にG1で複勝圏内に入った経験を持っており、3度目のG1で初めて複勝圏内に入ってきたトーセンジョーダンにとっては今後に憂いを作った格好になります。しかし、三冠馬シンボリルドルフや短距離G1レース2勝のニホンピロウイナーを負かしたギャロップダイナに勝るとも劣らず、トーセンジョーダンもG1レース5勝馬ブエナビスタを筆頭としたG1ホース7頭を撃破しており、ジャパンCも有馬記念も優勝候補の1頭として大いに考えられるところです。
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2011-10-30 Sun
今年のクラシックはオルフェーヴルの三冠で終わりましたが、2012年クラシック戦線も2歳チャンピオンを決める一戦まであと2ヶ月を切りました。刻一刻と勢力図が変わる2歳戦の中で10月のレースを勝ってクラシックで活躍できそうな馬をピックアップしていきます。・ディープブリランテ(10月1日阪神芝1800m新馬)
今年秋の阪神芝は時計がかかるコンディションでしたが、最終週の芝1800m戦では1分49秒7とまずまずの好タイムがマークされました。そのレースで2着に5馬身の差をつけて勝ったディープブリランテは、フラワーC2着のハブルバブルの全弟にあたる馬で、昨年の2歳チャンピオンであるグランプリボスを管理している矢作芳人調教師の所属馬ということからも、まだまだ奥が深そうな感じです。
・グランデッツァ(札幌2歳S)
今年の勝ち馬グランデッツァは札幌芝1800mを2連勝。コスモス賞で既に札幌芝1800m戦を勝っていたゴールドシップに先着、3番手からの抜け出しと素質の高さをまざまざと見せつけましたが、札幌芝1800m戦の連勝はクラシックに向けてやや怪しい材料でもあり、今後の路線に注目です。
・サウンドオブハート(芙蓉S)
勝ったサウンドオブハートは新潟芝1400mの新馬戦に続いて連勝。その臨戦課程は2006年の2歳チャンピオンで2009年の春秋グランプリホースであるドリームジャーニーのようで、阪神ジュベナイルフィリーズ制覇に向けて大きなステップを踏みました。
・タガノグーフォ(10月22日京都芝1400m新馬)
今年秋の京都芝は菊花賞、秋華賞共にレースレコードにコンマ1秒差遅れと超高速仕様となっていますが、その京都の2歳戦で気になったのが菊花賞前日に稍重で行われた京都芝1400mの新馬戦。勝ったタガノグーフォは父ネオユニヴァース同様に京都芝1400mのデビュー戦を1分21秒6で勝利とまずまずの内容ですが、母父がネオユニヴァースと相性の良いノーザンダンサー系のダンシングブレーヴ、厩舎は2004年のダービートレーナー松田国英調教師ということで将来性豊かなバックボーンがあります。
・アルフレード(きんもくせい特別)
朝日杯有力候補として見ておきたいのが新潟芝1600mの特別戦を勝ったアルフレード。勝ちタイム1分36秒6は平凡ですが、上がり3ハロン32秒5の脚を使って追い込み、上がり3ハロン34秒0で逃げ粘っていたドリームトレインを交わして勝利という内容からは極上の決め手が見て取れます。母父サンデーサイレンスは朝日杯が行われる中山芝1600mで優位に働きますし、2代母の全兄サクラバクシンオーは昨年の朝日杯優勝馬グランプリボスの父で、血統面から期待が持てる1頭です。
2011-10-29 Sat
◎・エイシンフラッシュ○・ローズキングダム
▲・ブエナビスタ
(参考記事・天皇賞(秋)展望 「クラシックとディスタンス」)
天皇賞(秋)において絶対的な強さを誇っている東京芝2400mの重賞勝ち馬ですが、今回印を回した3頭はいずれも東京芝2400mのG1勝ち馬。こうした中で、エイシンフラッシュは前年の日本ダービー以後未勝利ではあるものの、最近5走の中ではジャパンCを除いて上がり3ハロンは上位3位以内と安定した末脚を発揮しています。2000m戦は5戦して3勝3着2回と最も得意とする距離ですし、”もうひと押し”に強いルメール騎手を迎えて必勝態勢となりました。
対抗のローズキングダムは前走京都大賞典において59kgの斤量で勝利とまた一つステップアップした感じ。東京コースは3戦2勝2着1回とほぼパーフェクトな成績を残しておりますし、好調であればエイシンフラッシュと伍する走りを見せてくるという点でも注目です。昨年の勝ち馬ブエナビスタは勢いという点でやや陰りが見られ、連覇の難しさから評価を控えめにしましたが、東京コースではG1レースを5戦して3勝2着2回と連対率100%と安定しており、複勝圏内から外れる可能性はまずないと見ています。
単勝
エイシンフラッシュ
ローズキングダム
馬連
エイシンフラッシュ-ローズキングダム
エイシンフラッシュ-ブエナビスタ
ワイド
ローズキングダム-ブエナビスタ
三連複
エイシンフラッシュ-ローズキングダム-ブエナビスタ
三連単
エイシンフラッシュ→ローズキングダム→ブエナビスタ
2011-10-24 Mon
10月、11月、12月の月末は王道G1ウィーク。その先陣を切る東京芝2000mのG1レース・天皇賞(秋)の過去の好走馬に見られる傾向に触れていきます。1・「本命」東京芝2400m重賞勝ち馬
近3年の絶対勢力となっているのが東京芝2400mの重賞を勝ってきた馬たちで、出走馬6頭全てが3着以内入線を果たしています。
2・「対抗」2000m重賞勝ち馬
東京芝2400m重賞勝ち馬以外で3着以内に入り込んでいた3頭ですが、彼らは全て2000mの重賞を勝ってきた馬たちでした。
3・「穴馬」中山重賞勝ち馬と芝1800m重賞勝ち馬
東京競馬場が改修された2003年以降のレースで10番人気以下の穴馬が5着以内に入ってきたのは8頭。複勝圏内に入り込んできたのは前半3年の4頭で最近は鳴りを潜めていますが、5着以内に入ってきた8頭のうち、テンザンセイザ、ヘヴンリーロマンス以外の6頭が中山重賞勝ちの持ち主でした。また芝1800m重賞勝ち馬という点で見るとヘヴンリーロマンス、コスモバルク、ネヴァブションを除いた5頭が該当しているという形になっています。
2011-10-23 Sun
1984年のクラシック三冠馬シンボリルドルフが亡くなった2011年、シンボリルドルフと同じ新潟競馬場でデビューしたオルフェーヴルが史上7頭目となる三冠馬となりました。1着・オルフェーヴル(父ステイゴールド)
2着・ウインバリアシオン(父ハーツクライ)
3着・トーセンラー(父ディープインパクト)
※最高の菊花賞馬
「12.7 - 12.2 - 12.0 - 12.0 - 11.7 - 12.3 - 12.7 - 12.6 - 12.4 - 12.1 - 12.9 - 12.1 - 11.5 - 11.6 - 12.0」
今年の勝ちタイム3分2秒8は歴代2位となる高速決着となりましたが、1ハロン毎のラップタイムを見ていくと、13秒台のラップが一度も刻まれていないことがわかります。これに関してはラップの記録が残されている1986年以降では一度もなく、終始息の入らないタフなレースであったことが言えますが、こうした流れの中で二週目の3コーナーから進出を開始し、直線入口で先頭に立つとゴール寸前では流す余裕があったオルフェーヴルの走りは完全無欠の一言に尽きます。
※日本競馬の”粋”
2005年のディープインパクト以来となる三冠馬誕生となった今年の菊花賞。その勝者オルフェーヴルにはサンデーサイレンス、ディクタス、ノーザンテーストという社台グループの総力をかけた血と、今年競馬業の活動を休止したメジロの冠名を持つ父子三代天皇賞馬の血が脈々と受け継がれていると共に、父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンを管理した池江泰郎元調教師の子・泰寿調教師が携わってきました。しかし、デビュー戦ではゴール後に池添騎手を振り落とし、3戦目の京王杯2歳Sでは直線で内にささり続けて10着大敗と、必ずしも王道を歩んできたとは言えませんでした。
そんなオルフェーヴルでしたが、今年に入って皐月賞前の3戦の間に競馬の何たるかを教えこんでいくと、皐月賞では抜群のキレを発揮して勝利。日本ダービーでは折からの雨で不良馬場となり、レースでは包囲網を作られるような格好になるも、それらの苦難を跳ね除けて二冠達成。そして秋初戦の神戸新聞杯では前半1000m63秒5という我慢の競馬の中で折り合いをきっちりつけて日本ダービー1馬身4分の3差だったウインバリアシオンに2馬身半の差をつけて勝ち、春からの成長をまざまざと見せつけていました。そんな流れを汲んできた今回の走りはまさに集大成と言えるものであり、日本競馬の象徴となったと言っても過言ではありません。