2014-10-31 Fri
先週の菊花賞と同様に、木曜日に枠順が発表されて金曜日発売がある天皇賞【秋】。7枠から外の馬で有力候補と呼べるのは、今年の皐月賞馬であるイスラボニータぐらいで、他の馬は枠による泣きがさほどなさそうにも思えるのですが、今年はレース中に雨が降りそうで、この辺りの馬場の読みも難しくなりそうです。さて、今回のこの記事では天皇賞【秋】への繋がりが深そうな下半期のレースを簡単に回顧していきます。今年はサマー2000シリーズを5戦中3戦予想しており、その3戦分についてはここで触れることはありませんが、勝てば天皇賞【秋】への優先出走権が得られるレースだった東のG2レース二つと共にざっくりと振り返ります。
※七夕賞
1着・メイショウナルト(父ハーツクライ)
2着・ニューダイナスティ(父ディープインパクト)
3着・マイネルラクリマ(父チーフベアハート)
ラップタイム・12.2 - 11.4 - 11.2 - 12.0 - 12.1 - 11.9 - 11.9 - 11.6 - 11.8 - 12.6
前年の小倉記念をコースレコードで勝ったメイショウナルトがその時以来勝利を収めた、サマー2000シリーズの初戦。前年のアルゼンチン共和国杯で14着に敗れて以来、それまでの快進撃が嘘のように鳴りを潜め、4戦連続で二桁着順という惨敗を積み重ねてきましたが、この七夕賞では最下位に敗れた前年の金鯱賞以来の逃げに出たものの、他の馬のマークが手薄で、そのまま押し切ることに成功しました。10秒台のラップがないので、スピード満点の逃げというわけではありませんでしたが、この辺りは長く良い脚を使うことを武器としているハーツクライ産駒の持ち味と言えますし、何よりリラックスして走れたことが大きな勝因で、今後も同じようなレーススタイルを貫いていければ、さらなる戴冠があっても不思議ではないように思われます。
※小倉記念
1着・サトノノブレス(父ディープインパクト)
2着・マーティンボロ(父ディープインパクト)
3着・メイショウナルト(父ハーツクライ)
ラップタイム・12.4 - 11.0 - 11.3 - 12.8 - 12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.0 - 11.4 - 12.4
台風11号の影響で大変な風雨の中で行われた小倉芝2000mのハンデG3・小倉記念。前年の優勝馬メイショウナルトが七夕賞の逃げ切りに味をしめるかのような外連味のない逃げを打ってきましたが、最後は外から脚を伸ばしてきたディープインパクト産駒2頭に呆気なくかわされ、日経新春杯を勝利していたサトノノブレスが、その時以来の重賞勝ちを収めました。勝ったサトノノブレスは次走オールカマーで16着に敗れており、左回りのレースがあまり得意ではない可能性も芽生えてきていますが、新潟競馬場のコーナーは中央競馬の中では屈指の小回り仕様であり、そこで窮屈そうな走りをしていました。風雨の中で行われた小倉記念の時は外を悠然とまくってきていたことを踏まえても、ディープインパクト産駒の強豪馬は馬場の良し悪し以上にコーナリングに気を遣うタイプであることを窺わせます。
※オールカマー
1着・マイネルラクリマ(父チーフベアハート)
2着・ラキシス(父ディープインパクト)
3着・クリールカイザー(父キングヘイロー)
ラップタイム・13.0 - 11.0 - 11.4 - 12.2 - 12.9 - 12.2 - 12.4 - 12.1 - 12.0 - 11.4 - 11.6
菊花賞トライアルであるセントライト記念よりも0秒5遅い決着となったオールカマーでしたが、勝ち馬から最下位の馬までのタイム差は1秒0で、実力拮抗の戦いだったように思われます。こうした中で、勝ったマイネルラクリマにとっては初めてのG2勝ちとなりましたが、1年以内にG2以上の格を有す重賞を勝っていた馬がアスカクリチャン1頭だけだった上、そのアスカクリチャン自身が前年のアルゼンチン共和国杯優勝後一度も掲示板に載れない体たらくであることを考えると、レースのレベル自体はG1で好勝負をするには少々足りないと見ています。
※毎日王冠
1着・エアソミュール(父ジャングルポケット)
2着・サンレイレーザー(父ラスカルスズカ)
3着・スピルバーグ(父ディープインパクト)
ラップタイム・12.9 - 11.0 - 11.5 - 11.7 - 12.0 - 11.8 - 11.2 - 11.3 - 11.8
ここ10年の出走頭数で見ていくと、16頭以上のレースが4回ある一方で、12頭以下のレースが5回と、群雄割拠と少数精鋭の差がはっきりしている毎日王冠ですが、今年は15頭立てと、まずまず頭数が揃いました。こうした中で勝利を収めたエアソミュールは鳴尾記念に次いで重賞2勝目となりましたが、2着、3着に来たのが重賞未勝利馬という点が気になります。過去に似たようなケースがあったのはサンライズペガサスが勝利した2005年のことで、この時の2着馬と3着馬は過去に重賞勝ちがありながら年内の重賞を勝利していませんでしたが、勝ったサンライズペガサスに関しては毎日王冠の勝利が最後となって引退していきました。
ただ、サンライズペガサスは毎日王冠勝利時で7歳馬だったのに対し、エアソミュールは今年の凱旋門賞に出走したゴールドシップやジャスタウェイ、あるいはジャパンCを連覇しているジェンティルドンナや天皇賞【春】を連覇しているフェノーメノなどと同期の5歳馬なので、ここに来て覚醒の感もなくはありません。何より、このレースに関しては1着から5着まで5歳馬が占め、前年の皐月賞馬ロゴタイプを6着に追いやっていることからも、現5歳世代の層の厚さを感じさせる一戦でもありました。
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2014-10-28 Tue
2か月分のまとめということで言えば最も少ない予想数となった今回の「月刊・◎とキルトクール」。前回に続いてキルトクール馬が1勝したものの、本命馬に関してはとうとう半年以上勝たない状態が続いてしまいました。また、キルトクールと◎の指名馬で3着以内に来たのが1回だけと、完全に支離滅裂な予想を展開していると言えるのですが、過去のデータが素直に生きるレースとそうでないレースの区別、そして上位争いができる馬の見極めを様々な角度で捉えられるように、まだまだ精進が必要だと感じる次第です。◇◎・2014年9月分&2014年10月分
0-0-0-4
勝率・0%
連対率・0%
3着以内率・0%
単勝回収率・0%
複勝回収率・0%
◇キルトクール・2014年9月分&2014年10月分
1-0-0-3
勝率・25%
連対率・25%
3着以内率・25%
単勝回収率・253%
複勝回収率・50%
◇◎・通算
11-13-13-87/124
勝率・9%
連対率・19%
3着以内率・30%
単勝回収率・62%
複勝回収率・76%
◇キルトクール・通算
14-8-9-93/124
勝率・11%
連対率・18%
3着以内率・25%
単勝回収率・100%
複勝回収率・70%
2014-10-28 Tue
今年の秋のG1は重賞未勝利馬が金星を収め続けていますが、昨年の天皇賞【秋】もキャリア2勝のジャスタウェイが3歳牝馬三冠馬や2頭の先代天皇賞【秋】優勝馬を退けて圧勝しました。それを踏まえた上で、今年の天皇賞【秋】をデータ分析していきます。(昨年の展望記事・第148回天皇賞【秋】展望 「”帝”の算」)
1・山間から望め
近5年では2011年優勝馬トーセンジョーダン以外の優勝馬はいずれも今回の距離から200m違いのレースから使ってきていますが、3着以内に入ってきた15頭のうち13頭が宝塚記念をスキップした馬、もしくは宝塚記念で3着以下だった馬となっています。この13頭は「東京芝、もしくは阪神芝外回りの重賞を勝った上で前走毎日王冠に出走」、「前走、毎日王冠を含めたG2戦を勝ってきている」、もしくは「前年秋のG1で3着以内に入った経験がある」という3つのデータの中でいずれかを有していました。
2・天辺
秋の古馬王道G1三連戦、その初戦を飾るのが東京芝2000mで行われる天皇賞【秋】ですが、ここ5年で必ず3着以内に1頭は来ているのが、「父が芝2400mのG1を勝っていて、自身が芝2000mか芝2400m、もしくは阪神芝外回りの重賞勝ち馬」か「父が中山G1優勝馬で、自身が芝2000mか芝2400m、もしくは阪神芝外回りの重賞勝ち馬」というようになっています。
3・引き締める
秋の東京開催における前半の締めくくりとなる天皇賞【秋】ですが、ここ6年の優勝馬とここ5年の2着馬に出ている傾向として、優勝馬に関しては12月か1月、競馬場が替わる直前の週の重賞勝ち、もしくは阪神芝外回りの重賞勝ちがあってなおかつ左回りの勝ち鞍がある馬が来ており、2着馬に関しては1年以内に東京の重賞勝ちがあります。
☆昨年の上位3頭
1着・ジャスタウェイ(1・2・3に該当)
2着・ジェンティルドンナ(1・2・3に該当)
3着・エイシンフラッシュ(1・3に該当)
昨年までのデータから”阪神芝外回り重賞”を強調するきっかけとなったジャスタウェイの激走。ジャスタウェイの唯一重賞勝ちだったアーリントンCは春の阪神開幕週に行われる芝1600mの3歳限定G3で、その優勝馬がG1を制したのは2003年のNHKマイルCを勝利したウインクリューガー以来となりますが、ウインクリューガーが勝利した時の阪神芝1600mは天皇賞【秋】と同様にコーナーのポケットからスタートのコースだったもので、外回りコースが作られた2007年以降のアーリントンC優勝馬としてはジャスタウェイが初めてのG1馬になります。
ちなみに、桜花賞が阪神芝外回りコースで行われた最初の世代である2007年のクラシック世代が古馬になった2008年以降では、”阪神芝1600m重賞勝ち馬”が4勝、”芝2000m重賞と東京芝2000m超の重賞勝ち馬”が2勝と前者の該当馬が有利となっています。後者の該当馬が勝った時はいずれもシルポートの単騎逃げが成立したレースとなりましたが、そういった単騎逃げ馬がいないと見るのであれば、前者の馬に勝利を決め打ちするのも一手ではないかと思われます。
☆今年の登録馬とデータマッチ
※1に該当【宝塚記念をスキップした馬、もしくは宝塚記念で3着以下だった馬限定】
・東京芝、もしくは阪神芝外回りの重賞を勝った上で前走毎日王冠に出走した馬
ダークシャドウ、ディサイファ
(除外)ペルーサ
・前走、毎日王冠を含めたG2戦を勝ってきている馬
イスラボニータ、マイネルラクリマ
(除外)なし
・前年秋のG1で3着以内に入った経験がある馬
エピファネイア、サトノノブレス、ジェンティルドンナ、デニムアンドルビー、トーセンジョーダン
(除外)なし
※2に該当【芝2000mか芝2400m、もしくは阪神芝外回りの重賞勝ち馬限定】
・父が芝2400mG1の勝ち馬
サトノノブレス、ジェンティルドンナ、デニムアンドルビー、トーセンジョーダン、ヒットザターゲット、フェノーメノ、マーティンボロ
(除外)ペルーサ
・父が中山G1優勝馬
イスラボニータ、エピファネイア、サトノノブレス、ジェンティルドンナ、デニムアンドルビー、マーティンボロ、ラブイズブーシェ
(除外)ペルーサ
※3に該当
・12月か1月の重賞勝ち馬
エピファネイア、サトノノブレス、ジェンティルドンナ、トーセンジョーダン、マイネルラクリマ
(除外)なし
・競馬場が替わる直前の週に行われた重賞勝ち馬
アスカクリチャン、イスラボニータ、エピファネイア、ジェンティルドンナ、ダークシャドウ、トーセンジョーダン、フラガラッハ、ラブイズブーシェ
(除外)なし
・阪神芝外回りの重賞勝ちがあってなおかつ左回りの勝ち鞍がある馬
ジェンティルドンナ、デニムアンドルビー
(除外)なし
・1年以内に東京の重賞勝ちがある馬
アスカクリチャン、イスラボニータ、ジェンティルドンナ、ディサイファ
(除外)なし
※該当なし
カレンブラックヒル、スピルバーグ、ロサギガンティア
(除外)マックスドリーム
2014-10-28 Tue
先週の菊花賞を経てもなお、未だに年内のJRAG1を2勝した馬が現れない中央競馬ですが、今週は天皇賞【秋】が行われます。今年の皐月賞馬であるイスラボニータ、あるいは今年の天皇賞【春】を優勝したフェノーメノが勝利すれば、年内のJRAG1を2勝した馬が不在という状況は解消されますが、ジャパンC連覇のジェンティルドンナや3年前の天皇賞【秋】優勝馬トーセンジョーダンなど強豪がひしめき合っており、状況打破は簡単とは言えません。一方で、土曜日には東西で重賞が組まれていますが、その他の特別戦もなかなか中身が濃いように思われ、いろいろな想像を働かせられる一週間となりそうです。※アルテミスS
今年から正式にG3の格付けを受けた2歳牝馬限定の重賞レース。2勝馬が2頭いますが、1勝馬もなかなか質が高く、どういった性格を持つレースとなるのか、見るのが楽しみです。
※スワンS
秋の京都開催の前半を締めくくる重賞として親しまれている、芝1400mのG2戦。今年のNHKマイルCを制したミッキーアイルが秋の始動戦として選んでおり、初の芝1600m以外のレースをどう戦うか注目していますが、もう1頭のディープインパクト産駒であるフィエロも大いに気になる存在であり、マイルCSとどう繋がるのかも、じっくりと見届けたいところです。
※萩S
こちらも秋の京都開催の前半を締めくくる2歳オープンとして長らく親しまれている、芝1800m戦。登録馬10頭のうち、アルテミスSにも登録している馬が4頭いるため、実際の頭数は読めないところがありますが、過去に2歳戦の注目勝ち馬として取り上げたグァンチャーレ、ポルトドートウィユ、マサハヤドリームがどのような走りを披露するか、とても楽しみです。
※カシオペアS
天皇賞【秋】の裏に行われる、京都芝1800mのオープン特別。前走勝ち馬は誰もいませんが、斤量設定が賞金別定となっているため、57kg以上の馬が5頭もおり、過去に重賞を1勝、2着4回の実績を持つスマートギアに関しては60kgと近代競馬ではあまり見かけなくなった重い斤量を背負わされることになっています。また、3歳馬が2頭いる一方で9歳馬も2頭と、バラエティに富んだ構成となっていますが、今年の皐月賞で3着に入ったウインフルブルームがどのような走りを見せるか、見定めておきたいところです。