2017-01-29 Sun
新春の中山開催を終え、東京開催の第1週を終えたところで、残りの日数が今日も含めて3日となった2017年の1月。来週の水曜日から2月に入り、フェブラリーSの開催を終えると、3歳重賞が5週連続で組まれていますが、月刊式に変えた”いざクラシックへ!注目の一頭”では、重賞以外のレースを勝ち上がってきた馬の中からピックアップしていくことにします。※1月22日中山芝1600m・メイクデビューより、セイウンキラビヤカ
1月の3歳戦における大きなトピックというと、リーチザクラウン産駒による重賞制覇が最も大きなところではなかろうかと思われますが、そのリーチザクラウン産駒からさらなるクラシック候補誕生と思わせたのが、アメリカジョッキークラブC当日に行われた、中山芝1600mの新馬戦です。このレースを勝ち上がってきたセイウンキラビヤカは道中2番手追走からの抜け出しを図り、2着馬に3馬身半の差をつけてきましたが、セイウンキラビヤカの血統を見ていくと、4代目以降に4つのクロスが入った近親配合馬でありながら、5代母のカバリダナーは桜花賞、オークスを圧倒的な逃げ切りでモノにしたテスコガビーと同期の牝馬で、オークスではテスコガビーに次ぐ2番人気に支持されていたことから、古くから日本に馴染んだ牝系の持ち主でもあります。カバリダナーは繁殖牝馬として2頭の重賞勝ち馬を輩出したものの、それ以外の競走馬が目立った実績を残せていませんが、リーチザクラウンとの交配でもたらされた多重クロスによってどれほどの躍進が見られるか、注目に値する1頭と判断しました。
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2017-01-26 Thu
発表から既に2週間以上が経過しましたが、先日1月10日に、2016年度のJRA賞が発表されました。年度代表馬には、最優秀4歳以上牡馬のタイトルを得ていたキタサンブラックが、最優秀4歳以上牡馬と最優秀短距離馬で次点の扱いを受けていたモーリスに対して44票差をつけて選出されましたが、投票数の過半数から選ばれたわけではないところに、2016年の競馬の難しさが垣間見られるような気がしています。一方で、今回のJRA賞受賞馬で一際興味を抱いたのが、最優秀ダート馬に選出されることになったサウンドトゥルーです。2016年の勝利は12月のチャンピオンズCのみで、「チャンピオンズCがダートの有馬記念」といった見方もしたくなるところもありましたが、せん馬によるJRA賞受賞は2004年に最優秀障害馬に選ばれたブランディス以来の出来事で、平地競走馬による選出ということで言えば、今は無き最優秀父内国産馬に選出された2002年のトウカイポイント以来となりました。せん馬に関してはクラシックレースや一部レースへの出走に規制がかかっており、仮に有馬記念等の芝中長距離のG1を複数回勝つようなことになった場合、該当する部門賞が見当たらないことから、ただで少ないせん馬の活躍を称える機会がより少ないものになっている上、年度代表馬への選出が極めて困難なのではないかと思わされましたが、今回はそんなサウンドトゥルーについて触れていこうと思います。
※長期間の活躍が困難な”せん馬のG1馬”
繁殖能力のある牡馬として誕生しながら、気性改善、競走時の危険抑制等の目的で去勢されることによって生まれるせん馬。日本におけるせん馬は前述の通りクラシックレースや一部のレースの出走が出来なくなっており、せん馬が競走馬の大半を占めている香港競馬やケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントSにせん馬が出走ができるアメリカと比べると、日本において現役時代に去勢出術を施すことは少ない方になります。
そんな中にあって、サウンドトゥルーは昨年のチャンピオンズCを制していきましたが、JRAの平地G1をせん馬が勝ったケースは昨年のサウンドトゥルーの件も含めて12回あり、日本で調教されたせん馬によるJRA平地G1の勝利は4回あります。
◇JRA平地G1制覇を果たしたせん馬による、その後の成績
レガシーワールド(1993年ジャパンC)…(0-0-0-14)
マーベラスクラウン(1994年ジャパンC)…(0-0-0-5)
トウカイポイント(2002年マイルCS)…(0-0-1-1)
上記にまとめた過去の3頭について触れていくと、レガシーワールドとマーベラスクラウンは京都大賞典の連対をステップにジャパンC制覇に結び付け、トウカイポイントは前哨戦の富士Sを5着に敗れたものの、その半年以上前に中山記念をコースレコードで勝ち上がってきた、いわゆる脂ののってきた馬たちでした。しかし、3頭のその後を見ていくと、トウカイポイントがマイルCS制覇の直後に出走した香港マイルの3着が最高で、あとは全て着外に終わっています。最も多く走ったレガシーワールドは4回最下位を経験した上で1996年の宝塚記念8着を最後に現役を引退、マーベラスクラウンとトウカイポイントはレース中の故障が原因で競走中止となったのが現役最後のレースとなっており、G1を勝った後に待っていた没落具合が尋常ならざるものとなっています。
一方、サウンドトゥルーについては、チャンピオンズC制覇の後に出走した東京大賞典では3着に終わり、その次走の走りこそがサウンドトゥルーが続けるであろう現役生活の明暗を分けそうな雰囲気がありますが、サウンドトゥルーは昨年のチャンピオンズCを勝つ前に既に一昨年の東京大賞典においてG1馬の仲間入りを果たしており、一気の燃え尽き症候群に陥っていった過去3頭とは異なるキャリアを積める可能性が高いのではないかと考えています。
※既に”常識破り”
さて、先ほどの記述の中で、「サウンドトゥルーがせん馬の中で例外的存在になるのではないか」といった趣旨のことを書き連ねてきましたが、既にサウンドトゥルーには過去の悪習に囚われない競走実績があります。
◇初めてのダートG1制覇が東京大賞典だった馬による、その後のG1成績【国内外全て・現行の大井2000m戦となった1998年以降】
ワールドクリーク(1999年)…(0-0-0-8)
スターキングマン(2003年)…(0-1-1-5)
ローマンレジェンド(2012年)…(0-0-2-7)
サウンドトゥルーが初めてダートG1を勝ったのは2015年の東京大賞典でしたが、そこから昨年のチャンピオンズC出走前までのダートG1成績は(0-1-3-1)と、チャンピオンズCを勝つ前から以前の”東京大賞典において初のダートG1制覇を果たした馬”とは異なる安定性の高さを誇っていました。その上で、チャンピオンズCの制覇によって日本のせん馬としては初めてとなる”国内G1を複数回勝利した馬”として名乗りをあげることになったサウンドトゥルーですが、仮に次週の川崎記念を勝利すると、2005年の川崎記念優勝馬であるタイムパラドックスや2012年の川崎記念優勝馬であるスマートファルコンと同じ”3年連続ダートG1制覇”を達成することとなり、ダート競馬の歴史の中にあっても屈指の強豪と名を連ねることになります。
また、サウンドトゥルーの実績でもう一つ興味深いのが、ダート1800m戦における堅実無比の走りで、去勢前に(0-0-3-0)とした上で、去勢後の成績を(4-1-2-0)とし、うち2勝が重賞勝ちとなっています。この数字を見るだけでも、今年のチャンピオンズCにおける有力候補の1頭であることは疑いようもありませんが、実際に勝利を収めることになれば、前述の”3年連続ダートG1制覇”に加え、ジャパンCダート時代を含めても初めてとなるチャンピオンズC連覇も果たすことになり、フェブラリーS連覇を果たしたコパノリッキーと並び立つ存在になります。
しかし、いずれにしても、”日本におけるせん馬の歴史”にサウンドトゥルーは大きな足跡を残してきており、既にオグリキャップやトウカイテイオー、あるいはディープインパクトやオルフェーヴルのような伝説的な名馬と言っても過言ではない存在になっていると、筆者は考えています。
2017-01-24 Tue
アメリカジョッキークラブCと同じ日、中京競馬場ではフェブラリーSの前哨戦にあたる東海Sの開催がありました。今年は3年ぶりに16頭立てのレースになりましたが、2014年以外は優勝馬がフェブラリーSで3着以内に入ってきており、優勝馬の価値については十分に精査する必要があります。1着・グレンツェンド(父ネオユニヴァース)
2着・モルトベーネ(父ディープスカイ)
3着・メイショウウタゲ(父プリサイスエンド)
ラップタイム・13.0 - 11.5 - 13.6 - 13.1 - 12.5 - 12.4 - 12.4 - 12.0 - 12.7
さて、今回は上位5頭のうち、二桁人気馬が4頭も入る波乱の結果となりましたが、勝ったグレンツェンドは単勝1番人気馬で、フェブラリーSの前哨戦となった2013年以降では初めて4歳馬の勝利となりました。一方で、勝ちタイムの1分53秒2は2013年以降では最も遅い決着となりましたが、勝ったグレンツェンドは今回のレースでダート1800m戦の成績を(5-2-0-0)としており、東海Sと同じ中京ダート1800mのG1であるチャンピオンズCに対する期待は高まるばかりですし、フェブラリーSが行われる1600m戦についても(1-0-1-0)としているので、有力候補として上々な結果を残してきてもおかしくないと見ています。
2017-01-22 Sun
約8か月ぶりに実戦復帰を果たした馬が勝利した一方で、前走G1で2着になった馬が競走中止となった今年のアメリカジョッキークラブC。昨年と同様に完走できない馬が1頭出てきてしまい、無事に全馬が完走できることの尊さを噛みしめるレースになりました。1着・タンタアレグリア(父ゼンノロブロイ)
2着・ゼーヴィント(父ディープインパクト)
3着・ミライヘノツバサ(父ドリームジャーニー)
(予想記事・2017年・一の予想 「第58回アメリカジョッキークラブC」(ゼーヴィントVSシングウィズジョイ))
ラップタイム・12.6 - 10.8 - 12.4 - 11.9 - 11.9 - 12.3 - 11.8 - 11.9 - 12.2 - 11.8 - 12.3
さて、今年は12年ぶりに2分11秒台の決着時計となったアメリカジョッキークラブC。2年前のアメリカジョッキークラブCにおいて逃げ切り勝ちを決めたクリールカイザーが大外枠から積極的にレースを引っ張りに行き、そこにリアファルやミライヘノツバサが食らいつく格好となりましたが、前半1000mの通過が59秒6となかなかのハイラップになる中で、掲示板に載ってきた5頭のうち1着馬と3着馬と5着馬の3頭が3コーナーまでは徹底してインを突き続けていました。
その流れの中で勝利を収めたタンタアレグリアは、1コーナーから内ラチ沿いを確保していくと、そこから中団待機策をとって無駄な動きを一切見せず、道中3番手のインで追走し続けてきたミライヘノツバサの動きに合わせて位置を上げていくと、最後の直線ではミライヘノツバサの内を突いて脚を伸ばしていき、外から脚を伸ばしてきたゼーヴィントを半馬身差凌いでいきました。過去には阪神大賞典で2着の実績があり、近1年の古馬混合重賞において最も成績が良かったタンタアレグリアの力量が勝ったという趣もありますが、今回のタンタアレグリアと同じようにアメリカジョッキークラブが重賞初制覇となった2年前の優勝馬クリールカイザーは、その近2走において芝2400m超のG2を続けて3着以内入線を果たしていました。その上で、今回は2年前と同様に17頭立てのレースになっており、そういったレースだったからこそタンタアレグリアが持つステイヤー質の強さが実を結ぶことになったのかもしれません。
◎・ゼーヴィント(2着)
上位3頭の中では終始外を回ってきたゼーヴィント。上がり3ハロンでは勝ったタンタアレグリアと同じ最速のものを出していましたが、道中の立ち回りの上手さで勝利をタンタアレグリアに譲ったといった感じでした。それでも、3着に入ったミライヘノツバサに対しては1馬身4分の1の差をつけており、今回のレースにおいて最上位クラスの実力馬であることは十二分に示していました。(複勝130円)
キルトクール・シングウィズジョイ(競走中止)
レース前半では5番手グループにつけたシングウィズジョイ。クリールカイザーの逃げに必死に食らいついたリアファルが3コーナーの辺りから後退し始めたのを受けて、こちらも少しずつポジションを落とすような格好となりましたが、4コーナーで内と外から挟まれるように接触し、そこでバランスを崩したような走りを見せた直後に倒れ込んでしまいました。レース後の診断で左上腕骨々折が判明し、安楽死の処置がとられることとなりましたが、スピードに乗せようとする最中に起こる馬体の接触がいかに危険なものであるかを思い知らされるレースになったとも感じています。
2017-01-21 Sat
2017年も既に20日以上が経過しておりますが、当ブログにおける2017年6つ目の記事が、今年最初の予想となるアメリカジョッキークラブCの予想記事です。2013年から2015年にかけて3年連続で本命馬が勝利を収めてきたレースになりますが、今年は比較的シンプルに予想できるのではないかと考えています。◇第58回アメリカジョッキークラブCのキーデータ
1・7年連続優勝馬輩出中の”前走が前年12月の重賞、かつ過去にG2で3着以内入線の経験を持つ馬”
(7-2-4)
【該当馬】マイネルメダリスト、リアファル
2・7年連続3着以内入線馬輩出中の”前年下半期に重賞の連対実績がある馬”
(4-2-3)
【該当馬】シングウィズジョイ、ゼーヴィント
3・6年連続3着以内入線馬を輩出している”前走が前年12月の芝2000m以下のレースで敗北を喫した馬”
(2-2-4)
【該当馬】シルクドリーマー、リアファル、ルミナスウォリアー
さて、昨年の優勝馬であるディサイファは上記の3つのキーデータに全てを該当していましたが、今回の出走馬の中で全てに該当している馬はいませんでした。その上で、1と3に該当しているリアファルは、金鯱賞敗戦からのステップという部分でディサイファと同じであり、優勝候補としては十分すぎるほどに推せる出走馬ですが、ゼンノロブロイ産駒による17回の重賞勝ちのうち、半数以上が4番人気以下の伏兵的評価と目された時であるというのが気にかかります。また、ディープインパクト産駒の姉・マリアライトが中山芝重賞を5回走りながらも、3着以内に来たことがあるのが日経賞の3着1回だけというのもネックで、今回は違うデータを持つ馬による勝利が果たされるのではないかと判断しました。
◎・ゼーヴィント(◇2)
キルトクール・シングウィズジョイ(◇2)
その上で、今回の本命馬とキルトクール馬はキーデータの2に該当している2頭で、”菊花賞馬の父を持つ、母父ロベルト系の馬”という共通点を有していますが、本命に指名したゼーヴィントは中山芝で(2-1-0-0)としている上、2着に敗れた昨年のセントライト記念では同期の皐月賞馬ディーマジェスティとはタイム差なしでクビ差の争いを演じてきていることから、実力・コース適性に抜かりはありません。血統的には1994年の宝塚記念を制したビワハヤヒデや同年の有馬記念を制したナリタブライアンと同じ牝系馬であるという強みも有しており、リアファルを差し置いて勝利を収める馬がいるとすれば、ゼーヴィントただ1頭と睨んでいます。
リアファル以外の相手候補には内側からミライヘノツバサ、ルミナスウォリアー、ワンアンドオンリーの3頭をと考えています。この3頭の中でキーデータに該当しているのはルミナスウォリアーただ1頭であり、ルミナスウォリアーを3番手評価に据えますが、ルミナスウォリアーの臨戦過程は昨年のアメリカジョッキークラブCにおいて2着に入ったスーパームーンを彷彿とさせるところがあることからも、上位争いの可能性が高い1頭と見ています。また、キーデータに該当していない馬の中から狙ったミライヘノツバサとワンアンドオンリーについてですが、ミライヘノツバサはゼーヴィントと同期の4歳馬であることに加え、新年の中山開催においてステイゴールドの血を持つ馬が活躍している点を、ワンアンドオンリーについては今回のレースにおける唯一のG1馬で、今回本命に推したゼーヴィントに近い血統構成を有している点を、それぞれ評価することにしました。
そして、キルトクールに指名したシングウィズジョイは、今回のレースにおける紅一点となります。関西馬でありながら関東で重賞を2勝しており、遠征競馬が不得意な産駒が多いと思われるマンハッタンカフェ産駒としてはかなり優秀な部類に入ることから、鞍上のクリストフ・ルメール騎手が持つチャレンジ精神がプラスに働いた時に勝利の可能性を見出せる1頭ではないかと見立てています。ただ、中山開催のアメリカジョッキークラブCにおいて牝馬が連対したケースが1995年2着のホクトベガの例まで遡らねばならないという点は大きな懸念材料になります。また、マンハッタンカフェ産駒の牝馬による重賞勝ちの最長距離戦は、自身も2着に入った昨年のエリザベス女王杯ですが、この時のラップ配分が今回のレースにおいて結びつく可能性が極めて低く、その点からもキルトクールの評価を与えるのが妥当と見ました。
単勝
ゼーヴィント
リアファル
複勝
ルミナスウォリアー
馬連・ワイド
ゼーヴィント-リアファル
三連複(フォーメーション)
(1頭目)ゼーヴィント
(2頭目)リアファル、ルミナスウォリアー
(3頭目)ルミナスウォリアー、ミライヘノツバサ、ワンアンドオンリー
三連単
ゼーヴィント→ワンアンドオンリー→リアファル
リアファル→ゼーヴィント→ルミナスウォリアー
☆勝負のワンツースリー
ゼーヴィント→ミライヘノツバサ→リアファル
テーマ:中央競馬(JRA)予想 - ジャンル:ギャンブル